博物館探訪-切手の博物館
『切手の博物館』は、目白にある切手に特化した博物館。
1988年に切手収集家の水原明窓氏が設立した財団法人が母体となり、1991年には東京都の登録博物館に認定されたそうです。
どうやら常設展はなく、企画展示とイベントで回しているようで、私が訪れた時には干支にちなんだ企画展とバレンタイン特別展示が開催中でした。
車道に面した建物なので比較的見つけやすいですが、外観が会社っぽっくて入りづらい雰囲気かも?
一応入り口前にウェルカムボードみたいなものが立ってますが、受付のお姉さんはまったくウェルカムしてはくれません(^^;)
写真撮影の可否を尋ねた際も大変居丈高にお断りしている旨を伝えられ、いささかカチンときたので展示評価が厳しめになっちゃいそうです(笑
今見たら、貰ったチケットの裏に撮影不可の文言が印刷してあるので、お姉さん的には「書いてあんだろ」ぐらいの気持ちだったのかもしれませんが、入場時にぺろっと渡されたチケットの裏のこんなちっさい文字、見ねぇよ。
3階の展示室でも一番奥の壁の隅に『撮影不可』のボードが置いてありましたが、そんなに撮られたくないなら入口に目立つように立てとけよ。
……ってな具合に、しょっぱなからこの博物館への好感度がだいぶ下がってしまったのですが
しょうがない、こっちも人間だから。
本当にこういう小さなことで、施設そのものの印象が左右され得るということを、接客部門に携わる者は肝に銘じなきゃいかんなぁと、我が身を振り返りつつ思いました。
まあ鬱憤晴らしはこのくらいにしておきましょうか(笑)
展示室は1階奥と3階の1室になっています。
2階に切手関係の資料を閲覧できる図書室があります。
スペースは本当に狭いのですが、展示資料も切手という小さな物なので、点数自体は結構な数がありました。
……なのですが、『展示』というよりは『陳列』に近いかなぁ……
一番の問題は、解説文のつくり方だと思います。
1階では今年の干支である犬と、去年の猿をモチーフとした切手を集めて、番号を振って展示しているのですが、切手の横に1枚紙で貼ってある解説が、まず番号、モチーフになっている犬種(猿種)、発行国、発行年の羅列から始まっている。
大体ひとつのボードに20枚くらいの切手が展示されているので、少なくとも20件はそのデータの記述が続いて、その下に何やら解説めいた文章が印刷されている……って、これ順番逆にした方が??
データの記述って、どう使いたいかが先にないと、読んでても全然おもしろくないと思うんですよ。
その「どう使いたいか」を見学者に思いつかせるきっかけとして、説明文が存在するのではないかと。
そもそもすべてベタ打ちで、行あけも罫も入っていない、まさに「読ませる工夫をまったくしていない」解説用紙で、実際私は最初のボード3枚くらいは、データの下に文章があることに気づかず、ほぼ見てませんでした(^^;)
しかも何が書いてあるかと思えば「犬は犬種によってずいぶん顔が違います」みたいな、動物についての説明だったりして……いや、それもひとつの情報としてはおもしろいけど、むしろなんでその犬がこの国のこの時代に発行された切手にモチーフとして選ばれたのか、とか、そういう話が聞きたいんですが
モチーフの動物について語りたいなら、最後に全部纏めて書くのではなく、せめて切手の番号・犬種等データの後にばらして入れていくなどの工夫が欲しかったです。
このビジュアルとテキストが分断されているという事例は、奥にあった切手の歴史などを説明したパネルでも見られました。
こちらはせっかく写真を利用しているのに、なんの写真なのかという見出しをつけてないがために、説明文を全部読んでから自分で結びつけなければならないという……。
もったいないです。
内容がわりとおもしろかったこともあって、本当にもったいないと思います。
写真のすぐ横に小さく見出しをつける、その少しの手間をかけるだけで、学習効果は2倍3倍になるのになぁ……。
度々解説者の「切手LOVE」感がひしひし伝わってくるような文章も散見されただけに、とても残念
ただ、もともと切手に興味をお持ちの方であれば、そこまで詳しい説明は必要ないという判断なのかもしれません。
今までまったく切手に造詣がなかった分、私は今回切手についての認識を新たにした部分が結構ありました。
特に、切手のモチーフ選択にはある種のメッセージ性が籠められている(政策であったり、動物保護などであったり)という観点は、今まで私にはなかったものなので新鮮でした。
切手を売ることで寄付金を集めたり、観光土産などビジネスにも活用できたり。
切手って、とても小さく、とても身近なアートであると同時に、為替でもあるんだなぁ、としみじみ考えちゃいました。
……というふうに、この博物館で切手への興味の第一歩を踏み出すひともいるかもしれませんので、もう少しビギナーに優しい展示にしてもらえるといいなと思います(^^)
そういう意味では、バレンタイン企画の方が私はとっつきやすかったかな。
テーマがはっきりしている分、陳列でもそれぞれのデザインの違いなどを楽しめて、変なストレスは感じなかったです。
特にフランスのバレンタイン切手はおしゃれ
あと、ベルギーの切手はチョコレートの香りつきなんていうのがありました
この香りつきインクでの印刷技法、個人的にちょっと注目してるんですよね~。
視覚、聴覚はネット伝達できても、嗅覚と触覚は現物があってこそですもんね。
味覚は……インク舐めるのはちょっとな
↓展示室にはこんなものも。
(なんのこっちゃ?)
また、ここから郵便を出すとバレンタイン仕様の消印をつけてくれるとか。
せっかくなので、お手紙なんか出してみました(笑
そんなワケで、いろいろモンクも言いましたが(汗)切手収集などのご趣味をお持ちの方でしたら、珍しい切手を入手できるショップも入っているようですし、充分楽しめると思います
また、美術に関心のある方も、結構楽しいんじゃないかと今回感じました。
小さなスペースをどうデザインするか、そんな勉強にもなりそう
ご興味を持たれた方は、私の悪評などには惑わされず(笑)、ぜひご自分の目で確かめに行ってみてくださいね!
建物の入り口脇にあったポスト↓
グワシ!?
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