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カテゴリー「文化・芸術」の記事

博物館探訪-神代植物公園

最近パワースポットとして注目を集める深大寺にもほど近い『神代植物公園』。

梅やバラなど約4,800種類の花木と、サボテンやベゴニアなどが見られる巨大な温室を有した植物公園です。

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園内は、植物種別で30に分かれたブロックが形成され、季節ごとの草花を楽しみながら散策できるようになっています。

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広ーいです!

でもベンチや芝生など、のんびり休める場所も用意されているので、お天気がよければお弁当持参で行くのもいいかと

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↑全然知らないひと達だけど、なんかいい絵面だったので撮っちゃった

 

正門のすぐ脇で、こんなものも展示されていました。↓

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石付き盆栽?とかいうものらしいです。

 

……と、公園としてだけでも充分楽しめちゃうのですが、やはり醍醐味は巨大温室!

何が凄いって、ともかく本当に巨大です

04 ←後ろにあるビルみたいなのが温室。

こちらも、『熱帯花木』『ラン』『ベゴニア』『熱帯スイレン』『小笠原植物』『乾燥地植物』の6エリアに分かれています。

はっきりテーマ分けされているので、各部屋まるで違った景観を楽しめるのが大きな魅力

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↑おや、これは……前に三陽メディアフラワーミュージアムの温室で見かけて、面白いけど名前の判らなかった木では……っ!

『マルハチ』いうそうです。

名前まで面白い

 

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ここでもヒスイカズラが見頃に

 

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↑そして注目は、これ!

植物の一部が動物に似ているよ!っていうワッペンのついたものがちらほら……。

写真のものは「葉っぱがトナカイの角に似てない!?」ってことらしいです(笑)

この他にも動物ワッペンのついた植物がいくつかありましたので、そんなのを探しながら歩いてみるのも楽しいと思います

こうしたワッペンを含め、例えば宗教上重要とされる樹木を集めたコーナーとか、日陰を好む植物コーナーとか、その植物の性格別にまとめた展示もあったりして、見学者の興味を引く工夫が多く見られました。

展示資料の多い施設って管理が難しくて、名札がどっか飛んじゃったり、雑多な陳列状態にどうしてもなりがちなのですが……ここの学芸員さん、偉いな!(笑)

 

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ランの部屋。

ここでも学芸員さん、頑張ってます

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↑花の中心部がジュゴンに……見える?

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↑葉の下にある花(?)がタランチュラに見える……??

……かどうかは別として、こうしたワンポイント解説を加えることで、少なくとも見学者はその資料の前を素通りしなくなります。

しかも、ボードがポップなつくりになっていてキャッチ―です(笑)

博物館の使命のひとつは、資料をじかに見ることで新たな知識や好奇心を与えることですので、それに則したいい取り組みだと思います。

 

ベゴニアルーム

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今までベゴニアを意識して見たことはなかったのですが、色や形がこんなに違う……!

原種ベゴニアは現在すでに2000種ほどあるそうですが、実は見つかっていないだけでもっと多くの種類があると言われているらしいです。

ランにも同様のことが言えるとか。

それでこの温室、ランとベゴニアをわざわざ独立で扱っているのかもしれませんね。

22 ←フォトスポット。

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単なる資料展示だけでなく、こういうアーティスティックな展示を混ぜてくるあたりがまたニクイ

学習施設であると同時に、レクリエーション施設でもある。

そのバランスが非常によく取れているのが素晴らしい!

 

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↑水やり中の職員さん?

も、もしかしてこのひとが、あの動物ワッペンとかつくった学芸員さん……!??

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乾燥地植物室。↓

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やばい、私の大好きなラブリー多肉植物がいっぱい……!!

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くは……っ

 

という感じで、本当に充実の内容でした(^^)

が。

温室という名のとおり、中は蒸し暑い!

最近はエアコンの効いた温室も多いので忘れていましたが、そうだよ、温室って本来こういうものだったよ

ランとベゴニア室は涼しかったのですが、他の部屋はまさに熱帯雨林

私は途中で、何度か気が遠くなりました(^^;)

訪れる際は、体調管理にお気をつけくださいね!

 

最後に。

春の神代植物公園は、バラ園としても有名です。

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今月31日まで『バラフェスタ』を開催中

私はフェスタ前に訪れたのですが、結構バラ園、もう見頃になっていました。

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これまたひと口にバラといえども、色、柄、かたち、千差万別のバラ達が咲き誇っていますので、きっとお気に入りの1本が見つかるハズ

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気になった方は、ぜひこの機会に訪れてみてくださいね!

あと、園内で売っているバラソフトクリーム、ほんわりバラが薫ってデリシャスですよ

博物館探訪-横浜税関資料展示室

先日ご紹介した『海上保安資料館』の後に立ち寄ったのが、ここ『横浜税関資料展示室』。

その名のとおり、横浜税関が管理している無料の施設です。

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ワンフロアの小さな資料館ですが、ここ、かなり面白かった!

横浜港と横浜税関の歴史に関わる展示と、現代の税関業務についての紹介が主な展示内容になっています。

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一見堅そうではありますが、楽しく見学できる工夫が随所に見られました。

 

日米修好通商条約の書面↓

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「阿片の輸入厳禁」とある部分に矢印が置かれ、注目すべき点を明示した上で解説をつけているので、大変判りやすい!

ただ、解説自体は「昔から日本は麻薬の輸入は禁止だよ、それを守らせるのが税関の責務だよ」くらいで、さほど詳細なことは書いてありません(^^;)

まあいろいろ差し障りもあるのかもしれませんが……たぶん「阿片の輸入厳禁」と特に明記したのは、イギリスと清で起こったアヘン戦争の顛末を日本は見ていたから、というのが大きいんじゃないでしょうかね。

その辺りにもちらっと触れられていれば、学習効果はより高まったのではないかと思います。

 

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明治時代に醤油が輸出されている!(びっくり)

当時使われていた翻訳辞書も展示されていました。

 

実はこの展示室があるのは、『クイーンの塔』と呼ばれる建物の1階。

『横濱三塔』のひとつとされ、それ自体に歴史的価値があります。

なので、建物に関する展示物も。

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↓税関倉庫や庁舎に飾られていた軒飾りなど。

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……まあ、若干唐突感は否めない展示になっています(^^;)

 

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このあたりは麻薬密輸の手口などを紹介するコーナー。

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↑コンテナの壁を二重にし、その間に麻薬を隠してある。

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↑医薬品のふり。

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↑石材をくり貫いて詰める。

なんか手を変え品を変え、密輸業者もいろいろ考えてますね(^^;)

展示はとても判りやすいです。

個人的にはもう少し、麻薬の健康被害などのデータを合わせて「使っちゃダメだよ」というメッセージ性を強くしてもいいんじゃないかなと感じましたが……基本的に税関の職域以上のことには触れない、というスタンスなのかもしれません。

 

日本に持ち込んじゃダメな品物のサンプル↓

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ワシントン条約に記載のあるものや特殊な植物などは、加工品でも持ち込み禁止なんだとか。

ワニ革のバッグ(ってか、もはやワニそのものだが)はともかく、お花の飾り物なんかは普通にお土産として買っちゃいそうですね

ランとかサボテン類にはダメなものがあるみたいなので、要注意です。

 

また、ブランド品の本物と偽物を見分けられるか!?みたいなコーナーも。

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こういうの、子供も楽しめていいですね!

ほかにも、写真の中に潜んだ税関マスコット『カスタム』くんを捜せ!みたいなコーナーもありました

Dscf3350 ←カスタムくん。

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子供が楽しめるとか言いつつ、すっげー真剣に捜しちゃった私

でも私の後に来たおじさんも、結構な時間やってました(笑)

 

個人的に「ナイス!」と思ったのが、各コーナーごとに設置されたタブレット。

音声ガイドを再生できるようになっているのですが……

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隣にスタンプラリーが置いてある!

これ、なにげにいいアイデア!

タブレットだけだと面倒だから素通りしちゃいそうですが、どうせスタンプ捺すならその間にガイドを聞くか、って気になるじゃないですか?

せっかく用意した資料を嫌味なく利用させる、いい手法だと感じました

 

そんなワケで、狭いながらも結構楽しめちゃいました。

海外旅行が好きで度々税関を通る方なら、なおさら興味深く見学できるのではないでしょうか?

ぜひお近くに行かれた際には、ふらりと立ち寄ってみることをお勧めします(^^)

 

ちなみにカスタムくん……。

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一緒に記念撮影もできるようです

ってか、このぬいぐるみ欲しいな!(笑)

博物館探訪-海上保安資料館横浜館

先日所用で横浜へ行った折り、思いのほか用事が早く済んだので、無料の資料館を2か所ハシゴしてみました(^^)

 

まずは『海上保安資料館』。

ここには現在、九州南西海域工作船事件の船本体と回収された武器類などが展示されています。

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建物にはまんま『工作船資料館』と書いてありますね(^^;)

その名のとおり、中には工作船がまるごと置いてあって、デカさにたじろぎます

船底に向かってV字型になったこの船は高速航行に適し、4基のスクリューにエンジン、機銃や自爆装置まで搭載されていたそうです。

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事件の概要についてはリンク先にありますが、巡視船からの銃撃の痕が生々しく残っている様子や、自爆した船体内部も公開されていました。

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そのほか、工作員の持ち物や銃器などの武器も展示されていました。

正直……展示自体はだいぶ雑です(汗

私は船の撮影許可しかもらわなかったので、その辺のこまごましたものは撮ってきませんでした

あと、実は私は『九州南西海域工作船事件』ってなんじゃ?という感じだったのですが、ちゃんと館内入ってすぐのところに映像資料も用意されています。

それを見てから見学した方が、ひとつひとつの資料から感じ取れるものが違ってきていいんじゃないかな。

 

中国漁船によるサンゴ密漁は記憶に新しいものですが、すぐ身近に迫る外国の脅威と、それを防ぐために日夜努力し続けているひと達がいるということを、たまには思い出さなければいけないな

そんなことを考えさせてくれる施設でした。

博物館探訪-東京都水道歴史館

江戸から現代東京までの生活水に関わる歴史を学べる『東京都水道歴史館』。

お茶の水駅から、てくてく歩いて10分弱のところにある無料の博物館です。

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実は学生時代に一度、課外授業として訪れたことがあって、まあ、なんだ……無料だしな(^^;)という感じの地味な印象だったので、さほど期待せずに行ったのですが……。

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おおっ?

博物館手前の道なりに水関係の絵資料なんかが配置されていて、ちょっとテンション上がってきたぞ

いわゆる『博物館ロード』的なこういう仕掛け、大好きです(笑

そして館内に踏み入ると……

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村山貯水池取水塔の実物大模型に、流れる水のインテリア!?

え、こんなのあったっけ??

……どうやら2009年にリニューアルをしたとかで、映像資料や模型などの設備が充実

音声ガイドも無料で借りられます。

この音声ガイド、文字資料にはない情報が満載で、無料レンタルとは思えないほど内容が濃い!

いわゆる「解説ボードを読み上げてるだけ」のものとは違うので、まずはボードを読んでから音声ガイドを再生させることをお勧めします

 

では、取水塔模型へ吸い込まれそうになるのを振り切って、まずは2階『江戸上水』エリアへ。

ここには、江戸の上水の仕組みや開発秘話、木製の水道管『木樋』の実物資料などが展示されています。

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井戸と聞くと湧水を利用しているというイメージしかなかったのですが、実際にはこんなふうに町の地下を水道管が走っていたんですね。

 

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水源からは、水門までの僅かな高低差を利用して水をひいていたそうです。

しかも、市内での配水にはサイフォンの原理を利用していたのだとか……。

サイフォンの原理については、ここの説明が判りやすいかな。

これには木樋の気密性を保つことが重要なので、組み立てを間違えないためにパーツの接続部同士に同じ記号を彫り込むなどの工夫がされています。

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精密な計測器などもなかった時代にこれをやっちゃう江戸の職人、すげぇな!

 

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↓下水用のどぶには板が被せられていたようです。

 

↓玉川上水開削の模様をアニメ化した映像資料も。

音はよく聞こえないかな~?

ちょっと再生時間が長いですが、最後に下のパネルを点灯させて水流を再現させるなど、工夫のある資料になっていておもしろかったです

 

自分で見たいテーマを選んで再生できる寄席風(?)アニメ資料の機械も設置されていて、東京都、意外と頑張ってます(笑

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全体的に展示スペースが丁寧につくられていて、好印象でした(^^)

欲を言えば、それぞれの資料にもう少し関連性を持たせた配置や解説文があると、より理解しやすいのかな、と思います。

 

さて、階段を下りて1階へ。

聞こえてくる水音に、なんだか癒やされる~~~

 

1階には、明治以降の水道に関する資料が並んでいます。

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地震でも抜けない水道管の模型↓

ハンドルを回すことで、接合部の伸び縮みや上下動への耐久性を確認できるようになっている。

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鋳鉄管?↓

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濾過槽模型↓

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日本最大級の水道管↓

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……という具合に、わりと雑に資料が並べられていて、見学順を含め若干判りづらいです

説明不足の資料も多く、2階と比べて制作側に明らかな温度差が……(^^;)

特に部屋の中央に置かれた資料群が、壁側にある解説と対応しているものなどもあるので、パンフレットでよく見学順を確かめてから回る方がいいかもしれません。

 

でも内容的にはおもしろいものがたくさんありました

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明治初期のコレラ大流行。

それまでは上水管理を幕府がおこなっていましたが、維新後に管理者変更で混乱したのがひとつの原因なんだそうです。

その時代にコレラが流行ったのは知っていたものの、倒幕と関連づけて考えたことはなかったので、なんか新鮮な驚きでした

 

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蛇体鉄柱式共用栓。

コミュニティの共同管理で、使用権利のある者だけが取水するためのカギを持っていたそうです。

どこが鍵穴なんだろう……龍の頭上の穴かな??

共用栓は獅子のモチーフで外国から入ってきたものが、やがて日本で水神として祀られていた龍のかたちに変わったのだとか。

『蛇口』の語源でもあるらしいですよ

 

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こっちは獅子頭の馬水槽。

正面の大きな水槽が牛馬用、その下の小さな桶でわんこが水を飲めるようになっているそうです。

そんでもって、ぐるっと後ろへ回り込むと……

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ちゃんと人間の水飲み場も(笑

 

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漏水の有無を確認するための音聴棒。

黒いヘッド部分に耳をあてて、漏水音を聞き取る装置だそうです。

人間の聴覚に頼っているところがスゴイ!

 

そんなこんなで展示を見終えたら、音声ガイドを受付に返却する際、ぜひこの一言を!

 

東京水を飲んでみたい!」

 

お姉さんが冷えた東京水を振る舞ってくれます。

まあ味は……普通に水道水ですが

せっかくなので恥ずかしがらずに、試してみるといいですよ(笑

 

そんなワケで、思いのほか楽しめちゃった東京都水道歴史館。

ついでなので、帰り際に博物館の脇を回って、本郷給水所公苑へ。

ここには神田上水遺跡から移築した石樋が復元されています。

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石樋の向こうは普通の公園になっていますので、天気が良ければベンチで休憩もいいかと

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ご興味を持たれましたら、ぜひ足を運んでみてくださいね!

博物館探訪-切手の博物館

切手の博物館』は、目白にある切手に特化した博物館。

1988年に切手収集家の水原明窓氏が設立した財団法人が母体となり、1991年には東京都の登録博物館に認定されたそうです。

どうやら常設展はなく、企画展示とイベントで回しているようで、私が訪れた時には干支にちなんだ企画展とバレンタイン特別展示が開催中でした。

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車道に面した建物なので比較的見つけやすいですが、外観が会社っぽっくて入りづらい雰囲気かも?

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一応入り口前にウェルカムボードみたいなものが立ってますが、受付のお姉さんはまったくウェルカムしてはくれません(^^;)

写真撮影の可否を尋ねた際も大変居丈高にお断りしている旨を伝えられ、いささかカチンときたので展示評価が厳しめになっちゃいそうです(笑

今見たら、貰ったチケットの裏に撮影不可の文言が印刷してあるので、お姉さん的には「書いてあんだろ」ぐらいの気持ちだったのかもしれませんが、入場時にぺろっと渡されたチケットの裏のこんなちっさい文字、見ねぇよ。

3階の展示室でも一番奥の壁の隅に『撮影不可』のボードが置いてありましたが、そんなに撮られたくないなら入口に目立つように立てとけよ。

……ってな具合に、しょっぱなからこの博物館への好感度がだいぶ下がってしまったのですが

しょうがない、こっちも人間だから。

本当にこういう小さなことで、施設そのものの印象が左右され得るということを、接客部門に携わる者は肝に銘じなきゃいかんなぁと、我が身を振り返りつつ思いました。

まあ鬱憤晴らしはこのくらいにしておきましょうか(笑)

 

展示室は1階奥と3階の1室になっています。

2階に切手関係の資料を閲覧できる図書室があります。

スペースは本当に狭いのですが、展示資料も切手という小さな物なので、点数自体は結構な数がありました。

……なのですが、『展示』というよりは『陳列』に近いかなぁ……

一番の問題は、解説文のつくり方だと思います。

1階では今年の干支である犬と、去年の猿をモチーフとした切手を集めて、番号を振って展示しているのですが、切手の横に1枚紙で貼ってある解説が、まず番号、モチーフになっている犬種(猿種)、発行国、発行年の羅列から始まっている。

大体ひとつのボードに20枚くらいの切手が展示されているので、少なくとも20件はそのデータの記述が続いて、その下に何やら解説めいた文章が印刷されている……って、これ順番逆にした方が??

データの記述って、どう使いたいかが先にないと、読んでても全然おもしろくないと思うんですよ。

その「どう使いたいか」を見学者に思いつかせるきっかけとして、説明文が存在するのではないかと。

そもそもすべてベタ打ちで、行あけも罫も入っていない、まさに「読ませる工夫をまったくしていない」解説用紙で、実際私は最初のボード3枚くらいは、データの下に文章があることに気づかず、ほぼ見てませんでした(^^;)

しかも何が書いてあるかと思えば「犬は犬種によってずいぶん顔が違います」みたいな、動物についての説明だったりして……いや、それもひとつの情報としてはおもしろいけど、むしろなんでその犬がこの国のこの時代に発行された切手にモチーフとして選ばれたのか、とか、そういう話が聞きたいんですが

モチーフの動物について語りたいなら、最後に全部纏めて書くのではなく、せめて切手の番号・犬種等データの後にばらして入れていくなどの工夫が欲しかったです。

このビジュアルとテキストが分断されているという事例は、奥にあった切手の歴史などを説明したパネルでも見られました。

こちらはせっかく写真を利用しているのに、なんの写真なのかという見出しをつけてないがために、説明文を全部読んでから自分で結びつけなければならないという……。

もったいないです。

内容がわりとおもしろかったこともあって、本当にもったいないと思います。

写真のすぐ横に小さく見出しをつける、その少しの手間をかけるだけで、学習効果は2倍3倍になるのになぁ……。

度々解説者の「切手LOVE」感がひしひし伝わってくるような文章も散見されただけに、とても残念

 

ただ、もともと切手に興味をお持ちの方であれば、そこまで詳しい説明は必要ないという判断なのかもしれません。

今までまったく切手に造詣がなかった分、私は今回切手についての認識を新たにした部分が結構ありました。

特に、切手のモチーフ選択にはある種のメッセージ性が籠められている(政策であったり、動物保護などであったり)という観点は、今まで私にはなかったものなので新鮮でした。

切手を売ることで寄付金を集めたり、観光土産などビジネスにも活用できたり。

切手って、とても小さく、とても身近なアートであると同時に、為替でもあるんだなぁ、としみじみ考えちゃいました。

……というふうに、この博物館で切手への興味の第一歩を踏み出すひともいるかもしれませんので、もう少しビギナーに優しい展示にしてもらえるといいなと思います(^^)

 

そういう意味では、バレンタイン企画の方が私はとっつきやすかったかな。

テーマがはっきりしている分、陳列でもそれぞれのデザインの違いなどを楽しめて、変なストレスは感じなかったです。

特にフランスのバレンタイン切手はおしゃれ

あと、ベルギーの切手はチョコレートの香りつきなんていうのがありました

この香りつきインクでの印刷技法、個人的にちょっと注目してるんですよね~。

視覚、聴覚はネット伝達できても、嗅覚と触覚は現物があってこそですもんね。

味覚は……インク舐めるのはちょっとな

↓展示室にはこんなものも。

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(なんのこっちゃ?

 

また、ここから郵便を出すとバレンタイン仕様の消印をつけてくれるとか。

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せっかくなので、お手紙なんか出してみました(笑

Dscf3079 ←こんなの捺してくれる

 

そんなワケで、いろいろモンクも言いましたが(汗)切手収集などのご趣味をお持ちの方でしたら、珍しい切手を入手できるショップも入っているようですし、充分楽しめると思います

また、美術に関心のある方も、結構楽しいんじゃないかと今回感じました。

小さなスペースをどうデザインするか、そんな勉強にもなりそう

ご興味を持たれた方は、私の悪評などには惑わされず(笑)、ぜひご自分の目で確かめに行ってみてくださいね!

 

建物の入り口脇にあったポスト↓

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グワシ!?

博物館探訪-民音音楽博物館

信濃町にある『民音音楽博物館』は、創価学会会長・池田大作氏の提唱で1963年に創立された『民主音楽協会』が運営しているらしい小さな博物館。

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古典ピアノやオルゴールなどの楽器展示と、ミニ演奏会などを定期的におこなっているようです。

内部はいっさいの撮影が禁止だったため写真で展示物をご紹介できないのは残念ですが、いずれも楽器であると同時に美術鑑賞にも充分堪えうる美しいものばかりでした

 

展示室は建物2階のワンフロア、4部屋に分かれています。

古典ピアノ室には16~20世紀に製作された鍵盤楽器が展示されていて、スタッフさんが簡単な説明と演奏をしてくれます。

さほど音に敏感でない私でも、それぞれで奏でられる音色の違いが判る!

特にチェンバロとピアノの違いは顕著でした。

チェンバロの方がピンと張りつめた感じの音で、弦楽器っぽいかな?

スタッフさんの説明では、チェンバロは絃を爪で引っかけて音を出すため常に音量は一定ですが、ピアノはハンマーで絃を叩いて鳴らすので、鍵盤を叩く力の強弱で音量も変わるのだそうです。

ペダルで音の響き方を変えられるのもピアノの特徴なのだとか。

へ~

また、ショパンが調子のいい時と悪い時で使い分けていた(とスタッフさんが言っていた気がする)プレイエルとエラールの2台は、なるほどと納得できるほど音色が違ってビックリ。

こういうの、きっと音楽やるひとにとっては当たり前なんでしょうが、私のようなまったく造詣のない人間には結構衝撃でした(^^;)

実際に演奏してもらったピアノの中には、ニーペダルとか言って、ペダルが鍵盤の底側についているものや、シンバル(?)みたいなものを鳴らすトルコペダルが実装されているものなどがあって、約20分間退屈することなく楽しめました(^^)

ただ、こちらの部屋は実演解説時間以外は締め切られていて、自由に見学することはできないそうです。

一応展示品に簡単な説明ボードがついていたので、ひとつひとつゆっくり見たいなと思いましたが、古い楽器を演奏できる状態で保存するのには相当神経を使うだろうというのも理解できるので、まあしょうがないかな(^^;)

実演開始の少し前から入室できるようなので、その短い時間を活用されることをお勧めします

 

自動演奏楽器展示室には、オルゴールと自動再演ピアノ、蓄音機が展示されています。

『オルゴール』というのは実は日本製の呼称だそうで、アメリカなどでは『ミュージックボックス』と呼ぶのが一般的だそうです。

また、初期のシリンダー式オルゴールは時計職人によって制作されたものが多く、大変高価だったため、富裕層の人間しか持つことができなかったとか。

その後量産に適したディスク式オルゴールが開発され、やっと庶民も音楽を楽しめるようになった……なんて解説をしていただいた後、実際にオルゴールを稼働!

いろんな種類のオルゴールがありましたが、私が気に入ったのはストリート・オルガンの『フェアリーテール』

これ、音楽に合わせて人形がコミカルに動く「見せるための」オルゴールで、よくできていました

ディスク型の大きなオルゴールは、ジュークボックス的にパブなどに置かれることが多かったとかで、コインを投入すると演奏が始まるというつくりのものもあって、スタッフさんが見学者から希望者をひとり募ってコインを入れてもらうというパフォーマンスも。

こういう参加型の実演解説は、より能動的な学びに繋がっていいですね!

ちなみに当時は、オルゴールに1曲演奏させるためのコイン1枚でドリンクが数杯飲めたそうです

私なら飲んじゃうな(笑

他にもからくり人形が動く仕掛け付きのオルゴールや、自動演奏ピアノの実演など、15分間があっという間。

実は私、1回目の実演解説を途中から聞いたので、再度次の解説時間に頭から聞き直したのですが、どうやら回によって実演するオルゴールが若干違うようです。

ひとつにかける時間配分も客の反応を見て多少変えているみたいなので、もし時間に余裕があれば複数回見学するのも楽しいかも。

 

……なんですが、古典ピアノと自動演奏の実演でトータル35分、1日1回?(たぶん午後14時くらい?)1階フロアにある自動パイプオルガンの演奏が入ったりすると、ほぼひっきりなしに実演解説が続く感じで(^^;)

企画展示室などを見学していても、スタッフさんが大変親切に「今から実演始まりますので、ぜひどうぞ」と声をかけてくださり……なんか慌ただしいです

館内に配置されているスタッフさんの数も多く、若干見張られている感も……。

正直、「少し自由に見させてくれ。。。」と思ったりもしました(^^;)

 

実演解説は基本的に好きですし、扱う資料が音の出るものなので、ただ置いておくよりは演奏していただいた方が高い学習効果を望めるのはもちろんなのですが、今のやり方だと自発的な学習意欲をいささか阻害してしまうような……。

そしてせっかくの実演解説なのに、説明不足で少し物足りない気が私はしました。

例えば、自奏楽器にせよピアノにせよ、音の違いや内部の構造の違いにさらっと言及だけして中を見せてもらえない。

私はこれ、結構フラストレーションでした

資料の上部に鏡を設置して演奏中の動きを可視化するとか、パネルを用意するとか、やりようはあるんじゃないかなと思います。

自動パイプオルガンなんて、一応内部が判るように蓋を開けて演奏してくれるんですが、何がどうなって動いているのかとか、そういう説明はいっさいなかった……

いや、だってこれ、わりと凄いよ、この機械!

オーケストリオンとかいう愛称がついているらしいのですが、その名のとおり金管・木管パイプの他に太鼓やらトライアングルやらが詰め込まれていて、それが自動で音楽を奏でているわけですよ?

すっげー不協和音だけど、すっっげーー頑張って演奏してます感が半端なく伝わってくるんですよ!

音楽を掻き消すほどの勢いで響いている「ヴォ~ッ」という駆動音も含めて、何がどうなっているのか知りたいじゃないですか(^^;)

館内に置いてあった小冊子によれば、電気による送風で動かしているそうなので、たぶんその送風機とかモーターの音なんでしょうけど。

世界各地の楽器を集めた楽器展示室も含め、全体的に資料に対する研究成果の情報が少ないように感じました。

そのへん補填されているのかと思い、珍しく『民音音楽博物館 所蔵カタログ』なんてものを購入してみましたが、写真と、HPでも見られる短い解説文が載っているだけの本当にカタログだし(^^;)

もちろん、音を聞かせることを重要視してるからとも考えられますが、なんか中途半端なんだよなー……

もしかしたらスタッフさんに質問すれば疑問点を解明してくれるのかもしれませんが、人数は多いけどあまり話しかけやすい雰囲気ではないんですよね(汗

この日はたまたま外国の偉いひと?が視察で来たのか、なんか館内バタバタしていたというのもあるかもだけど。

でもそれ、来場者には関係ない事情ですし。

 

あと、もの凄く気になったのが、実演解説のある部屋、資料が3方の壁沿いに並んでいて、部屋の中央に観客席が配置されているので、解説者が自分に近い側と正面の資料を実演している間はよく見えても反対側に行かれると上半身を120度くらい拈らないと見られないという……

私が行った時はほぼ空席だったので、自分が移動して見学しましたが、これは少しどうにかした方が……?

まあこれも、「音を聞かせるのが目的だから!」と言われればそれまでなのですが(^^;)

なんか……なんか、中途半端なんだよなーーーっ

 

楽器展示室の方も、せっかくナゾの彫刻やら絵やらがついた外国の楽器が展示されているのに、イマイチそれがなんのためにつくられ、どうやって使われていたのかが判らなかったり。

アルマジロの甲羅でできている『チャランゴ』というアルゼンチンのギターとか、その情報をくれるんだったら側面・背面を観察できるように展示してほしかったなー

ただ、この展示室の入り口にあるパソコンで、各楽器の音を聞けるようになっているのは楽しかったです(^^)

 

とゆーワケで、結構残念な感じもしましたが、事前にある程度知識を持った上で訪れればまた違った印象になるかもしれませんし、夏休みなどには子供が楽しめるようなワークショップも実施しているようなので、そういったものを利用するといいかも

音楽にもともと造詣の深い方なら、おそらく貴重な楽器を見られるだけでもテンション上がること請け合い

また、2/12まで、楽器の調律に必要な音律大系である「純正調」と邦楽の研究に力を注いだ物理学者の田中正平氏の自筆書簡など、日本の近代化の中で音楽の発展進化がどのようにもたらされていったのか、研究者たちの努力が垣間見られる企画展も開催中です。

……私自身は「純正調???」という感じでしたが(汗)、興味のある方は足を運んでみてはいかがでしょうか?

博物館探訪-江戸東京たてもの園・賀正

今年もいくつかの博物館は2日から開館!

働いているひとは大変だけど、博物館ファンとしては嬉しいです(^^)

とゆーワケで、江戸東京たてもの園江戸の正月を楽しもう』に行ってきました。

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実は子供の頃に何度か行ったことがあるのと……さほどの施設じゃなかったという記憶に基き(^^;)、昼頃にだらだら出かけたのですが。

すみません面白いです、そしてしっかり見て回ると結構1日かかります

江戸太神楽などのイベントを見るのに時間を取ってしまったということもありますが、でもせっかくだから見たいし!(笑)

おかげで今回すべての建物展示を回りきることはできませんでした。不覚……!

 

武蔵野の歴史をテーマとした『武蔵野郷土館』を前身に開館した江戸東京たてもの園は、東京(江戸)の歴史や風俗が垣間見られる歴史資料的建造物の保存・展示を目的とした博物館だそうです。

建物を復元移築した野外展示のほかに、縄文土器や民具などがビジターセンター内に展示されています。

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中原遺跡出土の『装飾把手付土器』(縄文時代中期)

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観音塚古墳出土の『埴輪(靫片)』(古墳時代)

 

……で、中原遺跡ってどこ!?

長野とか福岡とか、あちこちにあるんですけど??

武蔵野と言うと埼玉南部から府中の辺りを指すことが多いので、その辺りの遺跡のはずですが……????

と思いつつ進んだら、展示室の真ん中辺りの壁に ↓

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遅ぇよ。その上いちいち対応させながら見なきゃならんのか

しかもわりと千葉県やら山梨県やら、広範囲から資料収集しているようだし。

せめて都道府県名くらいは名札に記載してほしいです(^^;)

 

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↑青梅市喜代沢遺跡から出土した耳飾り(縄文時代後期)

ちなみに、こうやって使ったらしい。↓

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……って、あまりにざっくりした装着例で結局よく判らんのですが(^^;)

この資料だと耳朶を挟んでつけてますが……一般的には、耳飾りには玦(けつ)状と栓状があって、写真のタイプは栓状なので、耳朶に穴をあけて嵌め込んでいたとされています。

アフリカの一部部族でも見られる装着法ですが……それとは違うのかな?

基本的にどの展示資料にもあまり詳しい解説がなかったので、このへん改善されると見学後の満足度が違うのになぁ、と思いました(^^;)

 

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↑港区長谷寺に伝わる夜叉神堂鬼面と、台東区に伝わる今戸土人形。

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↑亀戸天神『鷽(うそ)』。

鷽ってなんじゃ?と思って調べてみたら、日本海沿岸に生息するスズメ科の鳥で、「鷽」と「學」の字が似ていることから学問の神・天神社のマスコット(?)になってるんだとか。

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↑江戸時代から雑司ヶ谷の鬼子母神土産としてつくられていた『すすきみみずく』。

名前のとおりススキでできているらしい。

カワイイ

 

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『マユカキ』と『くるり棒』。

マユカキは繭の周りにくっついた毛羽(繭糸)を除去する機械。

くるり棒は、柄を持って打撃部を回転させ、打ちつけることで脱穀する道具……?

こういった昔の民具は、文字で用途を説明されても判りづらいものも多いので、使い方のイラストなどがあると嬉しいかな

 

……といった具合に、正直展示室についてはいろいろ気になる部分が多かったのですが()、ここのメインは野外展示の方ですので、まあこんなものかもな、という感じです(笑

 

野外展示は東、西、センターゾーンの3エリアに分かれ、現在30棟の家屋と灯籠や都電車輌などの屋外展示物が配置されています。

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東ゾーンには、主に明治以降に建てられた商家や問屋、銭湯などが復元されています。

建造物だけでなく商品なども一緒に展示することで、当時の下町風情を体感できるようなつくりになっています。

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花市生花店。

昭和初期に建てられた看板建築。

看板建築ちゅうのは、2~3階建ての木造建築の正面だけを銅板やモルタル、タイルなどの耐火素材で覆った装飾的な住商兼用町家の一形式を言うのだそうです。

関東大震災からの復興期に多く建てられた形式なのだとか。

 

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植村邸。

1階の銅板部分に、戦時下の空襲で受けた疵が残っています。

 

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武居三省堂。

明治初期創業の文具店で、「さんしょうどう」と読むようです。

店内に墨や筆が所狭しと並べられていて、ちょっと萌え(笑

 

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大正時代に建てられた和傘問屋さん。

内部は昭和初期の問屋の店先を再現しているそうです。

和傘の製作過程を示した人形が展示されています。

 

Dscf2776 路地裏。

Dscf2788 Dscf2789 皇居正門石橋にあったらしい電燈。

 

西ゾーン。

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多摩川崖線上にあった農家。江戸時代中期頃の建築らしいです。

この西ゾーンでは、江戸時代から昭和初期までに建てられた様々な建築様式の住宅を一度に見られます。

それぞれ特徴のある家を、外観だけでなく内部に上がって見学できるので、建築に興味のある方なら相当楽しいと思います(^^)

 

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江戸時代に野崎村(現在の三鷹市野崎)の名主を務めた吉野家の住宅。

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床の間の横に出窓状の障子窓が付属した付書院や、欄間の彫刻までが洗練されていて美しい

 

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三井財閥を築いた三井総領家の10代当主・八郎右衛門邸。

正月飾りがついているのが期間限定っぽくていいですね

昭和27年建築の母屋に明治30年頃につくられた客間と食堂が復元されているそうです。↓

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入ってすぐの部屋に、かつて神奈川県の大磯城山にあった三井家別邸『城山荘』の写真資料などが展示されていましたが……

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見えるかな~?

ほとんど神棚か!?みたいにデコラティブな部屋……生活できんのか、これ??

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↑長持と箪笥。

3階まで見学できますが、昔の建物なので階段は急です(汗

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ただ、脚の不自由な方用にエレベーターも設置されています。

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……この辺は、資料の原型を重視するか展示公開機能の充実を重視するかで意見が分かれる点なわけですが、さりげなく、資料の全体像を損なうことなく設置されているところが、私的には好印象でした(^^)

 

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大正14年田園調布に建てられた全室洋間の家。

淡いクリーム色の壁と大きな窓がカワイイお家です

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内務省の立てた都市計画を元に東武鉄道が開発した住宅地・常盤台に、昭和12年に建設された写真場。

「住みやすい、環境のよい、健康住宅地」をキャッチコピーに売り出された常盤台宅地は、当時では先進的だった水道が引かれ、遊歩道や公園、商店街などが計画的に配置された理想的な住宅街だったそうです。

2階は撮影室、1階が住居になっていて、壁際にカウンターのようなものが並んだ部屋が実は子供たちの勉強部屋なのだとか。

エデュケーターさんによると、娘が5人息子が1人(人数違ったかも)の大家族だったらしく、勉強机が3つしかなくても年齢差で使う人間がローテーションしていったため間に合っていたようだ、という話でした。

ある意味とても合理的

撮影室は、北側に設置されたほぼ天井までぶち抜きの大きな窓から採光し、天井は屋根の傾斜をそのまま利用して傾斜させ、さらに天井と壁の接合部になだらかな弧をつくることで、撮影に最適な照度を得られる工夫がされているそうです。

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頼めば自分のスマホなどで記念撮影もしてもらえるようですよ。

「どんなカメラで誰が撮っても、意外といい写真になります(笑)」とエデュケーターさんがおっしゃってました

そう言えば、私はこの家でしかエデュケーターさんを見かけなかったのですが、やっぱりこういう説明をしてくれるひとがいた方が、実りの多い見学になりますね。

一応、毎月第4土曜日の14:30から学芸員による園内解説案内をしているそうなので、時間の合う方はこういうのを利用されると楽しいかと思います(^^)

 

他にデ・ラランデ邸という洋館もあるのですが、私が訪れた時は修復中で見られませんでした。残念

そして日が暮れ、寒さに耐えきれず、今日の見学をここで打ち切りました。

真冬の野外博物館はキツイな……(^^;)

結局センターゾーンは展示室以外まったく見学できなかったのですが、あきる野市から移築した瀬戸岡1号墳や御殿山遺跡敷石住居址なんかがあるみたいです。

本当に、武蔵野とその近隣の太古から昭和初期までの歴史を、園内にぎゅっ!と詰め込んでるんですね。

ひとつ地域の時間の流れをつぶさに見られるというのが郷土資料館の魅力ですが、そういう意味では、大変広域ながら確かにここは郷土資料館なのだと思います

深川江戸資料館と同様に利用の仕方で入館料400円が高いか安いか印象に差が出そうですが、明日明後日はクーポンゲットで割り引きになるみたいですよ。

獅子舞や雅楽演奏、コマの絵付けなどお正月らしいイベントもあるようなので、この機会にぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?

 

ちなみに見そびれたセンターゾーンの旧自証院霊屋。

ビジターセンターに模型が置いてありました

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日吉造(?)美しい~~

博物館探訪欄外-横浜人形の家『シルバニアファミリー×ドールハウス展』

シルバニアファミリー、すっごい好きというわけではないのですが、せっかくなので見てきました。

シルバニアファミリー×ドールハウス展

……なのですが、入ってみたらばちっさい家具や街がツボで

気づけば大量の写真を撮ってしまっておりました(^^;)

そういや私、博物館でもジオラマとか見るとテンション上がるもんな~、こういうのが好きだったんだな(笑

特に解説することはないので(汗)写真だけ載せておきますね

 

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やべ~、街だ~、この中入りてぇ~~っ

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この街ちょっと塔が傾いちゃってて危ないですね

でも、こういうのも手作り感があって好き(笑

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Dscf2652 見よ、このつくり込み具合を!

Dscf2660 あうっ!

Dscf2663 あうあうっっ!

そして動く~

Dscf2676 家の外にある木までがカワイイ

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これらの展示品は触っちゃダメなのですが、展示室内には自分でアイテムや人形をレイアウトできるコーナーもありました。

こういうの、空間デザインのセンスとか磨かれそうですよね!

 

お人形なしのものも。 ↓

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中世の小部屋っぽくていいです

こちらは和テイスト ↓

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まだまだあるんですが、このくらいにしておきましょうか(^^;)

こちらの特別展は来年1月28日まで。

若干見学料が高いかな~と思わなくもないですが、好きなひとならテンション間違いなし、好きでない方でもそれなりに楽しめると思います(笑

博物館探訪-横浜人形の家

2017年博物館探訪、最後は私の大好きな人形で締め括ってみようかと行ってきました『横浜 人形の家』(^^)

世界各国の民族人形や、こけしなど日本国内各地の伝統人形ほか、1万点以上のコレクションを持つ博物館で、展示以外に人形制作ワークショップや、館内にあるホールでの人形劇、音楽会などの公演も積極的に行なっているようです。

 

展示室に入ってすぐの部屋には、横浜開港によりいかにして異国風の人形がひとびとの生活に受け入れられていくのか、その流れを簡単に説明する資料が並んでいます。

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大正11年頃に発行された少女雑誌の表紙にはキューピーさんもいますね

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↑これは昭和62年につくられた『赤いくつの女の子』。

異人さんに連れてかれちゃう~~(笑

ちなみに縮緬生地でできているらしいです

 

大正末期になるとアメリカで、雇用問題から日系移民排斥運動が起こり、日米両国の関係悪化を緩和するために『友情人形』なるものの交換が行われたのだとか。

12,000体もの青い目のお人形が、大挙して日本へやってきたわけですね(笑

彼女たちは、ちゃんとパスポートや列車の切符も持っていたんですって!

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そしてその返礼として、東京や京都の人形師さんたちが生み出した市松人形58体がアメリカへ渡ったそうです。

 

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↑横浜の郷土人形。

昭和初期に横浜土産として考案されたのだとか。

横浜の治安維持にあたっていた『菜っぱ隊』と呼ばれる役人や、異国の紳士、水夫と船で働くインド人など、横浜開港当時の風俗を今に伝えています。

 

次の展示室内には、各国の民族人形が所狭しと並べられていて……

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所狭しと……

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……いや、並べすぎじゃね!?

平気で解説ボードの前にも置いてるし!

読ませる気ねーなコレ。

ショーケース前のデスク上にも度々 ↓

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みたいな解説があるのですが、該当資料は ↓

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離れすぎだろ!!?

このパターン、ほかでも多く見かけました。

どの人形についての解説なのか、当該資料を捜すのに結構イライラ

ほかにも、

Dscf2575 ショーケースの継ぎ目を意識していない。

 

Dscf2578 Dscf2579 前の資料が邪魔で名札が見えない。

 

Dscf2609 Dscf2608 解説ボード自体が邪魔で、資料の細部を見られない。

 

明らかに、資料出しすぎ(^^;)

解説も、「ほほう!」と感嘆するほど詳しいものもあれば国旗しかついていないようなものもあり、研究深度にばらつきを感じました。

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↑狐が集まって歌っている(?)人形とか、きっと何か謂われがあるのだと思うのですが……。

後ろの人形とは特に関係ないのかな……そういうのも含めて、解説が欲しかった

 

なので、展示替えを前提に、少し整理して見せた方がいいのではないかと……。

コレクション数は充分な数が揃ってますし、なかなか目にすることのないような貴重な資料も見受けられたので、余計にこの乱雑な陳列法が残念です

でも展示替えは手間がかかるし、もしかしたら大きな収蔵庫とかを持ってないのかなーとも思ったり。

いろいろご事情があるんでしょうね。

 

コレクションは本当に素晴らしかったので、いくつか私の気になったものをご紹介しておきますね

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大阪のビリケンさんを思い出してしまうのは私だけか!?

 

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展示室の中央にドールハウス

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ヤバい、たまらんっ

 

次の間にこんなものも。

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こういうのはこの時季ならではの展示でいいですね!

ざる被ったわんこは子供のくしゃみを止めるのに効果があるらしい(笑

 

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↑年表と制作年代を提示した人形の展示。

……でも人形、年代順に並んでいるわけではない。う~ん??

 

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ひっくり返すと ↓

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私はこういうの大好きなので躊躇わずスカート捲ったりして捜しましたが、前を歩いていた親子はチラッと見ただけで素通りしちゃってて、ちょっと寂しかったです

「猫捜せ!」ボードに気づかなかったのかもなぁと思い、目立つように置いてその場を離れ、そっと見守っていたら、次に来たカップルはしっかりやってくれました。よしっ!(笑

 

2階にはビスクドールを始めとする西洋人形と、日本の雛人形などが展示されています。

素材ごとの人形種別や特徴を纏めたパネルが入口にあるので、それを確認してから実物を見ると面白いですよ!

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布でつくられた人形 ↓

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からくり人形 ↓

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どちらも人形動作中の映像がモニターに流されています。

ダンス人形の方は、動きがかーなーり激しい!(笑

 

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↑雛人形。お家つきです

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浄瑠璃人形 ↓

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現代作家さんの作品……だったかな? ↓

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美しい……

 

展示室の奥で、ビスクドールと市松人形の制作過程を映像化した資料を見られます。

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このコーナー、非常に興味深かったです(^^)

映像はむだのない簡潔なつくりで長さも適度。

2本とも飽きずに最後まで見られると思います。

また、下に抽斗があって、開けると人形のパーツが。

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一部は触ることもできるように工夫されていますので、感触などを確かめることも可能です。

抽斗を開けるという行為自体も、ちょっとワクワクしていいですよね!

 

そんな感じで、小さな施設のわりにガッツリ楽しめました

学習施設としてはもう少し情報量が多くてもいいのかなと思いますが、人形に興味を持つきっかけとしては充分ですし、もともと興味のある方も満足できるだけの資料数なんじゃないかな。

年明けは2日から開館されるそうなので、お正月に退屈したら、ぜひこの機会に訪れてみてはいかがでしょうか?

 

ちなみにこの日、特別展で『シルバニアファミリー×ドールハウス展』をやっていました。

こっちは特に学習効果云々というのはないので、別立てで写真だけご紹介しますね(^^)

ご興味のある方は『シルバニアファミリー×ドールハウス展』へ!(笑

博物館探訪-東京都美術館・現代の写実ほか

来年1月6日まで開催されている『現代の写実―映像を超えて』。

ゴッホ展の半券があれば無料で見られるということだったので、ついでに立ち寄ってみました。

が。

正直に言って、私はこちらの展示会の方がおもしろかったです(^^;)

 

まるで写真か?と疑いたくなるほどリアルな描写で、ひとによっては「じゃあ写真でいいじゃん」と思うかもしれません

でも、リアルな景色のすべてが現実的である必要はないワケで。

そこにこそっと作者の幻想が混ざり込んでいたりする、夢現の曖昧さがたまらない。

……「それCGでいいじゃん」っていう声も聞こえそうですが

 

こちらは写真撮り放題だったので、私が惹かれた作品の一部をご紹介

 

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↑これ絵です。念のため(笑

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↑モチーフの縮尺を自由にできるのが写真にはない特権。……まあCGなら可能ですが(^^;)

 

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私のイチオシ

Dscf2506 小田野尚之さん『発電所跡』

 

実はこの辺りの絵は、会場に入らなくても廊下のガラス越しに見ることができます。

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なので、中にはわざわざお金払って見なくてもいいや、と思う方もいるかもしれません。

でも逆に私は、この『発電所跡』をもっとちゃんと見たいと思って入場しました。

これ、結構凄いことだと思います。

建物の構造がそのまま広報宣伝を担っている。

と同時に、ただで覗けたとしてもなお集客できるだけの魅力をこの絵たちに見出しているという館側の自信やプライドが、私的にはあっぱれだと感じました。

なんか東京都美術館、私、結構好きかも(笑

 

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巨大な絵もたくさん。

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この辺りは「和」のイメージでありながら、色彩の鮮やかさがモダンです

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また錦鯉か!?(笑

 

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↑これ、立体物に見えますが、まるきり平面の絵です。

でも思わず近寄って横から覗いてしまったほど立体的に描かれていました。

騙し絵みたい

 

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↑あっ、オリーブの繁みにうさぎさん!?

 

という具合に、わりと雑多に毛色の違う写実絵がたくさん展示されていました。

一見写真のようでもあるけれど、切り取られた一瞬ではなく、ある程度経過のある時間が閉じ込められているような。

そんなステキな作品たち。

気になった方はぜひ、実物を見にいってくださいね!

 

その他、書道展とか学生さんの卒業制作展とかを見て回ったのですが、どれも大変興味深かったです(^^)

筆の運びの途中にぽつんとついた墨の点に「これがすばらしい! これは素人にはできないわ!」と感激している方がいたり。

(私はうっかり墨が跳ねちゃったのかと思ってました

展示室内に立ち込める油絵の具の独特な香り。

(たぶん搬入ギリギリまで、みんな頑張って描いてたんでしょうね。)

新しい発見や、忘れていたものを思い出すような、なんとも充実感のある1日を過ごせました

 

今はまだ無名のアーティストの卵たち。

彼らの剥き出しの情熱をつぶさに感じ取れる、ちょっと変わった美術館。

上野を訪れた際には、ぜひ一度立ち寄ってみてください。

建物の外にもいろんなオブジェが飾られていますので、そんなものを眺めるだけでも楽しめますよ

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時間に余裕のある方は、閉館まで居座ってみるのがおススメ。

何故なら……

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めっちゃ夜景が綺麗です

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