棘
今でも覚えているよ 君と見た あの丘の上の大樹
わたし達二人 長い時間、 遠くを眺めていたっけね
あの頃は
どこかへ行けると思ってた
なんにでもなれると思ってた
今のわたしは生きてゆくのに精一杯で、
君は今でも あの丘の上から 遙かな眼差しを向けてるの?
きっと、ずっと 忘れないよ 君と見た あの美しい世界を
生活するので精一杯な わたしの胸に
それは深く刺さった 棘のよう
今でも覚えているよ 君と見た あの丘の上の大樹
わたし達二人 長い時間、 遠くを眺めていたっけね
あの頃は
どこかへ行けると思ってた
なんにでもなれると思ってた
今のわたしは生きてゆくのに精一杯で、
君は今でも あの丘の上から 遙かな眼差しを向けてるの?
きっと、ずっと 忘れないよ 君と見た あの美しい世界を
生活するので精一杯な わたしの胸に
それは深く刺さった 棘のよう
君が死んだら 私も後を追うつもりだよ
そんな独りきりで微笑みながら どうして逝ってしまえるんだい
私の気持ちなどお構いなし?
ずいぶん酷い仕打ちだね
君のいない世の中に いったいどんな価値があると云うのか
君と共にこの時代{とき}を歩いていける その事が
私にとっては最大の僥倖だったのに
それはただの独りよがりなのか
泣きたくて 屈してしまいそうだよ
君はとても強かったよね
人生に対してひたむきで
私は君の弱いところも たくさんこの目にしてるけど
ひとに対する時 強くあろうと努力する分だけ
君はやはり強かったんだと思うよ
私は君に助けられて
いつも寄りかかってばかりいたから
別離を哀しんでいるのは 一方的な私の我がままなのかな
君のいない世の中に 私がそれでも生きていこうとするなんて
君は本気で考えている?
君はそこまで私に対して盲目だったと云うつもり?
平気で突き放す気でいたのなら
あんまりにも残酷じゃないか
死んでもきっと君の微笑みは 鮮やかなままなんだろう
君と語り合った思い出は いつまで色褪せる事がないだろう
他愛のないお喋り くだらないじゃれ合い
でも その一瞬一瞬に 私は君に感謝したよ
君だけが 私の得たものの中で 唯一有意義だった
良い友人なんかじゃなかったけれど
私は本当に 君の事を
好きだったんだよ
日時指定更新かけてくるの忘れた……!
ただ今奈良におります。
ってワケでシ~ユゥアッゲイ~ン!
何処かへ行きたいと思っていた
ここに留まっていてはダメなのだ、と
遙か彼方の夢の国を 私はずっと渇望していた
それなのに
本気でとつ国を目指しているのか
単に逃げ出したいだけなのか 今の私には判らない
「助けて」と呟きながら 誰に救いを求めているのかさえ
そればかりか、何故 救われようと願うのか それすら謎だ
時間{とき}はただ 肌の上を掠め去り
老いてゆくことに 何の意義も見出せない
私はいったい何者なのか 誰かに決定してもらいたくて
そのくせ 猜疑だけが深く 心を侵している
何処かへ行きたいと叫びながら
何処へも行きたくないと足は竦み
もう明日など要らないのだと 凍えた両手で心臓を掴んで
それでいて いつか訪れるかも知れない幸福を うっとりと夢見ている
矛盾だらけで 怠惰な自分を疎みながらも
本当は満足しているだろう?
誰にともなく「助けて」とこぼせば
何処からか 手を差し延べてくれる誰かが現れると 期待してるだろう?
遙か高みを目指すふりをして
本当はここにいたくないだけ
進む 望む 求める
逃げる 捨てる 諦める
自分を傷つけないように 巧みに言葉を置き換えて
背け続ける私の瞳に 光など もはや宿るものか
私は息をつめて待っていた
この命令がくだることを
ユダヤの民よ 君達よ
古くからの郷土を追われ おちて行く君よ
何故(なにゆえ)に君達を憎まねばならないのか 私は知らぬ
何故(なぜ)君達を殺すのか 知らぬ
傍らに倒れ伏す君の同胞を目のあたりに
私はこの矛盾と無力を恐れる
私は息をつめて 待っていた
この命令がくだることを
ユダヤの民よ 君達よ
君達は信仰深かった
故え(いにしえ)からの風習(しきたり)を守り、決して我々に帰属することもなく
常に神を信じていた
何故に君達を憎まねばならないのか 私は知らぬ
何故 君達を殺すのか
安息の地をこの世に持たない君達は
今 私と同じくらい無力だろうに
私は息をつめて 待っていた
この命令の くだる時を
君達は今日 慣れ親しんだ故郷(くに)を追われる
何の理由もなく
何の説明もなしに
どこから渡されたかも判らぬ一枚の紙切れに
君達の命運は左右される
何故に君達を追わねばならないのか 私は知らぬ
何故 命令を私が伝えるのか 知らぬ
だが、君が私を憎む その理由は知っている
君達は信仰深かった
おちて行く道すがら 君達の口を割って流れる選民思想
そんなものを糧に
すべてを奪われ
すべてを捨てて 歩き続ける
君達は信仰深かった
常に救世主の出現を待ち望んでいた
いつか神が ユダヤの民を救ってくれると、
君は本気で信じていた
私は息をつめて待っていた
この命令がくだることを
ユダヤの民よ 君達よ
古くからの郷土を追われ おちて行く君よ
何故に私は君を憎むのか
何故 君達を殺し続けるのか
今、 私にも 理由が判った
君達は信仰深かった
常に神を愛していた
ユダヤの民よ 君達よ
君の求める神の国は いったい見つかっただろうか
世界は虐殺を求め
贄(いけにえ)のように君達の血を欲し
誰がよこしたか判らぬ一枚の紙切れに
たやすく押し流される
ユダヤの民よ 君達よ
私は息をつめて 待っているのだ
神なんか どこにも いないではないか――――――……
わたしのお庭には たくさんの骸(むくろ)が埋まっている
鳥籠の小鳥や お池の金魚
迷い込んできた可愛い仔猫も
皆な死んで 今は土の中
微生物たちは 彼等の亡骸を分解し 分解し
やがて肥沃な大地から 若木が育つだろう
そして まるで彼等のための葬礼のように
お庭の中心に根を張る白い藤が 美しい花を咲かせるのだ
淡雪のように真白な花弁は 風に揺れ
ゆらゆらと、 はらはらと、
愛しい者達のお墓の上に降り積もる
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