最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« 博物館探訪-澤乃井 櫛かんざし美術館 | トップページ | 恋の季節なの♪(?) »

博物館探訪-国立西洋美術館・アルチンボルド展

またしてもタダ券を手に入れたので、行ってまいりました。

国立西洋美術館『アルチンボルド展』。

 

この日は平日で、しかも雨降りという悪天候にも関わらず、チケット売り場に列ができるほどの盛況ぶり。

先日皇族のどなたかが訪れたなんてニュースもあったしね~。

てな具合で、私自身は正直それほど期待していなかったのですが……すみません、おもしろかったです!coldsweats01

実はワタクシ絵画については、好き嫌いは言えても良し悪しは語れない審美眼のなさなのですが(汗)なんか難しいことを抜きで見ても充分楽しい作品群だったのではないかと思います。

だってひとの顔を描くのに魚やら野菜やらがてんこ盛りになってんですよ?

嵌め絵か寄木細工かってなくらいぴっちりと、イイ感じにひっついてんですよ!?

しかも、帽子代わりのかぼちゃの上にかたつむり乗ってたり、びっしり寄り集まった鳥群の中に一羽だけ魚咥えてるやつが混ざってたり、トナカイの向こうに潜んだクマだかヒョウだかが顔半分だけ覗かせてこっちをじっと見てるとか、なにこのささやかなサービス(?)happy02

私、ピカソは好きになれないけど、このひとの絵はなんかイケる!(笑

もちろん造詣の深い方は、寓意を読み解くなど難しいことを考えながら見ればより楽しめるかとgood

 

アルチンボルドはルネサンスの終わり頃(マニエリスム期とか言うのか?)に活躍した宮廷画家だそうで、その作品はルーブル美術館でモナ・リザに次ぐ人気なのだとか。

自分の仕えている相手の肖像画、あんなにしちゃって怒られなかったんかいな、とひとごとながら心配になったりしたものですが、当事者達にも案外大ウケだったそうです。

当時の肖像画はお見合い写真代わりにもなっていたと聞きましたが、いいのか!?(逆にいいのか?笑)

どうやらポイントは、展示室内の解説ボードにも度々出てくる『クンストカンマー』。

『驚異の部屋』と訳されるこの部屋は、大航海時代を経て古今東西から集められた珍品奇品が飾られた、博物館の前身にもなったと言われるもの。

アルチンボルドが肖像画で描いたナスやトウモロコシといった野菜も、外国から入ってきたばかりの珍しい品で、当時は皇帝のクンストカンマーでしか見られないものだったんですね。

世界のすべてを手に入れたい皇帝にしてみれば、そういった素材で自分の肖像画を描かれることは、逆に誇らしかったのかも。

まあ、なんとな~く私はそこに画家の皮肉を見てしまったりもするのですが(^^;)

ただアルチンボルドさん自身が、皇帝の傍近くに仕えていなければ見ることの叶わなかったそれらの品々をじっくり観察し、描きたくて描きたくてしようがなかった!というのは画面からひしひし伝わってきます(笑

ともかくひとつひとつのオブジェクトがとても細密。

後に百科事典の挿画にも使われたという話でしたが、羊の毛の一本一本までもが細かく描き込まれていて、本当にふっさふさ!

『大公皇女』の肖像画(これは普通の肖像画)なんて、帽子がとても立体的で、手で掴めそうでした。

確かなデッサン力で趣き深く描かれたそれぞれのオブジェクトは、それひとつでも立派な絵画。

静物画が本格的に描かれるのは1600年前後からだそうですが、その先駆けとしても影響を及ぼしたのではないかと言われる所以は、そういう点からなんでしょうかね。

 

そしてその画力もさることながら、アルチンボルドさんの凄いところは、たぶんセンスshine

なにより「すげーっ!」と思ったのは、目の描き方。

彼に影響されて描かれたとして展示されていた他の画家の人物画を見ると、オブジェクト同士が緻密に詰められてなかったり、目の部分にムリがあるのが散見されたのですが、例えばアルチンボルドさんの『大気』では、鳥に咥えられた魚が実は人間の『目』を表現しているんですね。

そこにあっても違和感のないアイテムをそっと混ぜ込んで、全体のバランスを取る。

これはもうセンスとしか言いようがないですよねcoldsweats01

 

自分の顔をアルチンボルドさんに描いてもらったらどうなるか?

それを体験できるコーナーが、展示場に入ってすぐのところに設けられています。

01

撮影時間中は静止画を表示してくれるので、画面の横に本人が立って記念撮影することも可能です。

↓こんな静止画がしばらくの間表示されます。

Dscf1967 Dscf1966

Dscf1962 ←ひとによって使われる野菜が違うらしい。

ここでしか体験できないものだと思いますので、ぜひお試しくださいhappy01

 

とゆーことで作品についてはこのへんにして、一応展示評価の方もいくつか。

展示物の解説フリップを見ると、度々『〇〇に帰属』『〇〇にもとづく』という説明文があるのですが、『帰属』は「おそらく〇〇さんが描いたものと推定」、『もとづく』は「〇〇さんの作品を誰かが模写したもの」という意味だそうです。

これ、常設展の方でもいくつか見かけたのですが、美術品鑑賞では一般的に使われている表現なんでしょうかね?

まったく門外漢の私には意味が判らなくて「なんじゃらほい?」だったので、蛇足に思えても一言どこかに注意書きが欲しかったな、と思いました。

今回デッサン画などの絵画として完成していない作品も多かったせいか、結構『帰属』『もとづく』が多用されていて、相当気になりました(^^;)

また、『ハプスブルク宮廷』というテーマの部屋で、不意に鉢などの造形物が展示されているコーナーがあるのですが、その意図についての説明がないので、どういう繋がりでここに展示されているのか少々判りづらかったです。

おそらく、この時代にはこういうものが創られました(もしくは好まれました)という資料なのでしょうが……think

ただ作品自体は非常に美しく、見どころ満載です!

水晶製の平皿などは、脚部にまで細かな彫刻が施され、光が透過して床に投影された模様が本当に美しかったですshine

血玉石を使った『ネプトゥヌスをともなう巻貝形の鉢』も、私は血玉石の実物を初めて見たのですが、まるで塗料を塗ったみたいな深いモスグリーンにビックリ。

血玉石って確か、十字架に架けられたキリストの血を受けた石と言われているものだと思うのですが、よく見るとところどころに小さな赤い斑点も見られましたhappy02

『大きな貝形の鉢』も、ハーピー(たぶん)の調金や、地球(?)を足蹴にしている鳥などが意匠されていておもしろかったです。

たぶん何かの寓意があるのかな?

こういうのも解説があるといいのにな~despair

他の部屋に展示されていたブロンズ製品でも、蝶番があるので小物入れなのではないかと思われるものや、トカゲの1匹がもう1匹の尾を噛んでいるものなど、なぜそんなものが創られたのか、どう使用されていたのかなどの解説が欲しいな、というものがありました。

ただ、こと美術館の説明不足については度々指摘してきましたが、もしかしたらそこが博物館とは似て非なるものなのかな、とも最近考え始め(^^;)

博物館の役割が「知識へのこと問い」だとすれば、美術館のそれは「感性へのこと問い」。

また、ピクトグラムが言語を超えた伝達や相互理解を目的としていることを考え合わせれば、美術館のあり方はこれでいいのかもしれないですねsweat01

 

ところで、今回の展示会の目玉になっているのは、『四季』と『四大元素』と名づけられた連作8枚の絵。

このふたつのシリーズは、例えば『春』と『大気』、『冬』と『水』が互いに関連したかたちで創作されています。

ので、展示も関連するふたつを並べてあったのですが、次の部屋にも同じ並びで拡大パネルが展示されていました。

……だったら、実物は春夏秋冬で並べてほしかったかなcoldsweats01

季節ごとにどう描き分けているのかとか、火と水の対比とかも見たかったです。

同じ比較を2度もする必要ないじゃん?と私は思ってしまったのですがsweat01

ただ、拡大パネルの展示は非常によかったと思います。

絵が細かいので、拡大してみて初めて判るオブジェクトなどもありましたし。

今回、あちこちで見学者同士がぶつかっているシーンに遭遇したのですが、絵の細かいところまで見ようと近づいて、気が済んで離れる時にぶつかっちゃうっていうのがあるようだったので、目玉の2シリーズだけでも拡大パネル化したのは親切だったと思います。

もっとも、ひと同士がぶつかってしまう要因はもうひとつあって、部屋の角に展示した絵に対し直角になったすぐの壁に、次の絵の解説ボードのついている場所が結構ありました。

今回、絵に近づいて見ているひとが多かったので、一歩さがって離れる際に、次の解説ボードを読んでいるひとの肩にぶつかっちゃうんですよね(汗

絵の逆側の壁にスペースがあったので、解説ボードの掲示場所を替えればいいのにな、と思いました。

 

そして1点、ものすごーく気になったのが……ここもパンフレットを勧められなかったんですよねdown

と言うより、パンフレット自体がなかったんじゃないかと。

私はチケットと一緒に広告用(?)のパンフレットを貰ったのですが、この程度のものでいいので、やっぱりパンフレットは置いてほしいな、と思います。

パンフレットって、見学時の手引きというだけでなく、帰宅してからさらに知識を収集するための手がかりだったり、何より思い出になるものだと思うんですね。

まあ思い出が欲しけりゃ、ショップで展示会のカタログ買えやってことなのかもしれませんが! 富裕層しか学問できないという風潮に抵抗したい私としては、逆にペラパンフくらい置けやannoyって感じですcoldsweats01

ましてや広告用のパンフレットをつくって展示会用のパンフレットをつくらなかったのだとしたら、高い観覧料金払って見てくれている来館者をたいせつにしてないのかなと感じてしまいます。

いろいろ大人の事情もあるのかもしれませんが、再考していただきたいなと思いました。

 

そんな感じで、思うところはそこそこありましたが、全体的にはおもしろい展示会になっていたと思います。

9/24(日)が展示の最終日なので、もうあまり日もありませんが(汗)気になっている方は、ぜひ足を運ばれてみてはいかがでしょうか?

« 博物館探訪-澤乃井 櫛かんざし美術館 | トップページ | 恋の季節なの♪(?) »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

アルチンボルドおもしろいよねぇ。
この人の絵って、天地をさかさまにしてもOKなものがあるじゃん。正位置だと野菜の入ったバスケットだけど、逆位置にすると顔になるみたいなやつ。こういうやつが展覧会だと、壁に固定展示だからひっくり返して楽しむことができないのが、ちょっと残念な気がする。

>もあもあ

ダイジョーブ!
ちゃんとひっくり返したパネルも隣に展示されてたからwink
間違っても股の間から見てみるとかしちゃダメダメ(笑

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/180345/71702378

この記事へのトラックバック一覧です: 博物館探訪-国立西洋美術館・アルチンボルド展:

« 博物館探訪-澤乃井 櫛かんざし美術館 | トップページ | 恋の季節なの♪(?) »