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パラボリカ・ビス-『H+H 天使の解剖図』

朽ちた肉体に、魂は宿らない。

無垢なまでに生い茂る草花の苗床に、もはや心はない。

魂は……大気を震わす音楽の中にひそみ

          私の鼓動を打ち鳴らした―――……

 

parabolica-bis 二階健写真作品展 『H+H 天使の解剖図』

 

 

とゆーワケで、またしても浅草橋に出没してしまったワタクシです(^^;)

作品展のテーマになっているのは聖と悪――「どこの国でもない世界に双子の天使がいた。互いの片足はそれぞれ義足で、一人では歩けない存在であることを物語っている。やがて互いは異なる思想を闘わせ 争いへ。片割れは地獄へと落ちた……。HEAVENの体内には魔物が生息し始め、HELLはロックに魅せられ、人の背骨でギターを作った。」(パンフレットより抜粋)

……って、それ両方とも聖じゃないんじゃね!?というツッコミはさて置き(^^;)

今回の展示は写真です。

とは言え、そこはさすがパラボリカ・ビス。ただ写真が展示されているだけじゃないのですよ。

 

今回も展示室は1階と2階の2フロアを使用しておりました。

周り順は2階から。いつもと違い、チケット購入時に『順路』の描かれた紙をいただき、ちょっとビックリ。

それでは順路に従い、まずは2階の部屋を観てみましょう。

 

……うわ。

今回の展示会、パラボリカ・ビスのHPにある『 editor's talk 』なるブログでの紹介が「うわっ」で始まっているのですが、まさにそんな感じです。

狭い廊下には白い布が垂れ下がり、空間の輪郭を曖昧にしています。

行き着いた扉のノブには手首のオブジェ。

実はこの扉を開ける瞬間が一番緊張しました。

その向こうで息づくなにものかの気配に対する恐怖。

と、単純に「このノブ握っちゃっていいのかな? 壊れない??(汗)」という現実的な緊張感もありました(^^;)

扉を開けると……またしても白い布が視界を遮る。

しかもいろんなところから風が送られていて、薄手の布がゆらゆらとたなびいている。

その布を潜って進むのが、またしても微かな緊張感を生む。

そして白いヴェールの向こうには……天井から斜めに吊られた額縁と、その四角く区切られた空間の中に鎮座する義足。

小さな木製の椅子に、腿から下だけの脚が腰かけていました。

消失した太腿の先には草花が生え、手前には抉り出された心臓が供されている。

『HEAVENの間』と題されたこの一連のオブジェ、実は裏側から見た方が怖かったです。

斜めに配された額縁のせいなのか、裏から見ていると、自分が椅子に腰かけているような錯覚に陥りました。

動かない脚、抉り取られた心臓。

それらがすべて自分のもののように思えて、ちょっとゾクッときましたよ。

部屋の最奥、窓の前には祭壇が設けられ、十字架にかけられたイエスの首から手前に置かれた椅子へと、細い糸が伸びている。縛り首をイメージしているのかな、と思いました。

十字架の後ろには曇った鏡。その縁にはいくつもの電球が取り付けられ、安っぽい光を放っている。わざと割られたものや、切れている電球もあったりして、細かくつくり込んでるなぁと感心しました。

この祭壇、見ているうちになんだか懺悔したい衝動に駆られました。なんだろう、凄く冷たい感じ? 死の息吹とでも言うのでしょうか。

全体的な印象としてはアメリカ映画に出てくる、安~いモーテルでイカレタにーちゃんが崇拝しているサイケな祭壇、という感じなのですが……なんだか妙な圧迫感を覚えました。

そういう意味では1階の『HELL』の方が人間味があったかも。

ちなみに写真は部屋の両サイドの壁に展示されています。

正直、オブジェの方がインパクト強すぎて、写真はあまり記憶に残りませんでした(^^;)

モチーフが似たものばかりだったのと、色調がすべて同じセピアだったからかもしれません。

でも、出口付近に飾られていた『花の羽根』という写真、私は好きです。

女性(?)の背骨から羽根のように花が伸びているのですが、その花がちっとも咲き誇っていない。

菌類みたいな感じで、それが、いかにも女性に寄生して生命を吸い取っているみたいに感じられて。とても幽けくて美しい写真でした。

 

HEAVENの間を出て、いつもの階段をくだり1階へ。

この階段も今回展示(?)の一環に加えられているようです。

左右にりんごのオブジェが並べられたそこは、順路図には『失楽の階段』と描かれておりました。やー、なんか徹底して世界を創りあげていて、いいなぁー、楽しいなぁー(^^)

 

1階、いつもは立ち入り禁止になっている扉から入るようになっていて、ちょっとワクワク。

開けると……あれ? なんか倉庫っぽいんですが……。

いいのか、入っちゃって……と不安になり、順路図を確認。

『俗世の回廊』。

なるほどねー(^^;)私が入った時にはちょうどスタッフさんが荷物の段ボールを片付けている最中でしたので、なんか妙に『俗世の回廊』というネーミングがはまってて、思わず「プッ」という感じでした(笑

壁も段ボールだかベニヤだかを打ちつけた感じだし、突き当たりには悪魔らしき着ぐるみ(?)がぶら下がっているしで、気分はもうお化け屋敷!

段差のある戸口を潜ると……暗い部屋が現れました。

メインになっているのは暗幕で囲われたふたつの空間。

『HELLの間』と『Dr.二階の解剖室』。

共に覗き窓から中を見るしかけになっています。

これがねー、またしてもよくつくり込んであるんですよ。

特に『HELLの間』は少し時間をかけて観ていると、照明の強弱が変わったり、右側の壁の一部が鏡になっているのかなんなのか、時おり影が動くのが映るんですよ。それが空間を無限のものにしていて、長く観れば観るほど広がりの出る展示になっています。

『解剖室』の方は、手前の天井から無数のハサミがぶら下がり、その向こうに人体模型やら理化準備室とか田舎の診療所とかで見られるようなものが置かれています。

これも長く観ていると、ハサミで自分の身をザクザク切り刻まれているみたいな錯覚を起こして、軽い焦燥感を覚えました。

そして1階、忘れちゃならないのが『ミラールーム』と題された、ひと一人がやっと入れるくらいの小部屋です。

ふらふら揺れる布をかき分けると……床に散らばる割れた鏡。正面にも小さな鏡と、何故かヘッドフォンが置いてあります。

そう、実は今回の展示、2階も1階も結構なボリュームで音楽が鳴り響いていて、それが緊張感を煽っていた部分があるのですが……その音楽がヘッドフォンから流れるらしい。

しかも、右からHEAVEN、左からHELLというように、違う曲がいっぺんに入ってくるとか。

メッセージには「音楽を聞きながら正面の鏡を見つめ、自分の中の魔物を見つけ出せ」みたいな事が書かれていました。

さすがに鏡をじっと見ているのはアレでしたが、上の方に飾られていた幽霊みたいなイエスの肖像画(?)や、鏡の横で不規則な赤い光を揺らめかせるロウソク型の電球を眺めながら、結構長い時間聞き入っちゃいました。

なんか最初は凄い怖いと感じたのですが、そのうち妙に心地よくなってきて(トランス?)、後ろに他のお客さんの気配を感じなければいつまでもずっとその場にいたかったです。

今回結構お客さんがたくさん入ってたんですよねー。たぶん、パラボリカ・ビスがあんなに賑わっているのを見たのは初めてではないかと(^^;)それであんまりのんびりできなかったのは残念ですが、1階の展示室の出口から現実世界に戻った途端に私の口から出た呟きは、

 

「あー、おもしろかった!」

 

でした(笑

うん、今回の展示は本当にそんな感じ。

特に頭使ってこの展示の意味は……とか考えるより、純粋に楽しんじゃえ!という感じでした。

お化け屋敷が好きな方にはぜひオススメ!

れいのごとく私は昼間に行ってしまったのですが、今回の展示は絶対に陽が落ちてからの方がより楽しめると思います。

1階は関係ないですが、2階は窓からの採光がない方が、たぶん薄暗くて雰囲気出ると思います。

もちろん『失楽の階段』もね(笑)

 

展示会は26日(土)までやっています。

23日、25日は特別イベントで展示の見学はできないようですので……もうあんまり日がないですね(汗

気になった方は急いで行ってみてください(^^;)

 

二階健写真作品展「H+H 天使の解剖図」

http://www.yaso-peyotl.com/archives/2009/12/_1.html

 

ちなみに会場外のショーウィンドウも二階ワールドになってました↓

Hh

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コメント

せのが寄生したの?

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