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屋根の上のバイオリン弾き

私は息をつめて待っていた
この命令がくだることを
ユダヤの民よ 君達よ
古くからの郷土を追われ おちて行く君よ
何故(なにゆえ)に君達を憎まねばならないのか 私は知らぬ
何故(なぜ)君達を殺すのか 知らぬ
傍らに倒れ伏す君の同胞を目のあたりに
私はこの矛盾と無力を恐れる

私は息をつめて 待っていた
この命令がくだることを
ユダヤの民よ 君達よ
君達は信仰深かった
故え(いにしえ)からの風習(しきたり)を守り、決して我々に帰属することもなく
常に神を信じていた

何故に君達を憎まねばならないのか 私は知らぬ
何故 君達を殺すのか
安息の地をこの世に持たない君達は
今 私と同じくらい無力だろうに

私は息をつめて 待っていた
この命令の くだる時を
君達は今日 慣れ親しんだ故郷(くに)を追われる
何の理由もなく
何の説明もなしに
どこから渡されたかも判らぬ一枚の紙切れに
君達の命運は左右される
何故に君達を追わねばならないのか 私は知らぬ
何故 命令を私が伝えるのか 知らぬ
だが、君が私を憎む その理由は知っている

君達は信仰深かった
おちて行く道すがら 君達の口を割って流れる選民思想
そんなものを糧に
すべてを奪われ
すべてを捨てて 歩き続ける
君達は信仰深かった
常に救世主の出現を待ち望んでいた
いつか神が ユダヤの民を救ってくれると、
君は本気で信じていた

 

私は息をつめて待っていた
この命令がくだることを
ユダヤの民よ 君達よ
古くからの郷土を追われ おちて行く君よ
何故に私は君を憎むのか
何故 君達を殺し続けるのか
今、 私にも 理由が判った

 

君達は信仰深かった
常に神を愛していた
ユダヤの民よ 君達よ
君の求める神の国は いったい見つかっただろうか
世界は虐殺を求め
贄(いけにえ)のように君達の血を欲し
誰がよこしたか判らぬ一枚の紙切れに
たやすく押し流される

ユダヤの民よ 君達よ
私は息をつめて 待っているのだ

 

神なんか  どこにも いないではないか――――――……

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