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私のなかのカリスマ

私には昔、姿の見えない友達がいた。
いや、友達と呼ぶにはあまりに完璧で美しかったそのひとは、私にとって『指導者』だったに違いない。

それは、彼であり、彼女であり、そのどちらでもなかった。
ただいつも、私の傍にいてくれた。
そこに言葉が存在していたかどうかは、今となってはもう判然としない。
だが、彼(彼女)がいるがために、私は律しられていた。

私は、彼(彼女)になりたかったのだ。

実際、彼我を混同していた部分もあったかもしれない。
(だからその頃の私は、むやみと自信過剰で鼻持ちならない子供だった。)

その日。
夢の中で、私は彼(彼女)になりきっていた。
彼(彼女)であるところの私は、誰かに追われて高い壁へと突き当たった。
いつも彼(彼女)がしているように、身軽に飛び越えようとした時。
私はふと、躊躇した。
私がこんな高い壁を飛び越えられるはずがない。
何故なら——

私は彼(彼女)ではないのだから……。

目覚めた時、彼(彼女)の気配は、もはやどこにもなかった。

今思えば、あの日私は挫折したのだろう。
どんなに頑張っても、彼(彼女)のような美しく完璧な存在にはなれないのだと。
あるいは、徐々に汚れていく私を、彼(彼女)の方が見捨てたのかもしれないが。
指導者を失ってからの私は日ごとに堕落し続け、今や彼(彼女)には見られたくないほどに醜い。
だから、あの日彼(彼女)と訣別してしまったことに、どこかで安堵している私もいる。

けれど。

もし、今際に至ってすべての罪が赦され、魂の手を引いてくれるなにものかの存在があるのだとしたら……。

それは彼(彼女)であってほしいと、今も思うのだ……。

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